シンポジウム趣旨

孫文生誕150周年記念国際学術シンポジウム
趣意書


 2016年、孫文の生誕150周年を迎えるにあたり、日本で唯一の孫文記念館を擁する神戸においては、国際学術シンポジウムを開催いたします。
 孫中山記念会と孫文研究会は、1985年に開催した「孫中山研究 日中国際学術討論会」を嚆矢として多くの国際学術シンポジウムを開催し、日本における孫文研究者を網羅しつつ、中国大陸、台湾、欧米の研究者間のさまざまな学術交流の促進に寄与して参りました。孫文生誕記念の国際学術シンポジウムについて言えば、130周年記念の「孫文と華僑」(1996年、論文集は「孫中山記念会研究叢書Ⅲ」として出版)、140周年記念の「孫文と南方熊楠」(2006年、論文集は「孫中山記念会研究叢書Ⅴ」として出版)は、孫文研究の推進もさることながら、より広範な学際的研究の発展にも貢献したと自負しております。
 以上の成果を踏まえ、このたびのシンポジウムは、「孫文とアジア太平洋――ネイションを越えて」をテーマとすることを提案いたします。本テーマを設定するにあたっては、「孫文を単に過去の思想家・革命家として扱うのではなく、あくまでも現代から未来に向けて、孫文が提起した問題を日中両国共同の課題として追求する」という1985年以来の課題を継承し、さらに2011年の辛亥革命100周年記念国際シンポジウムで浮き彫りにされた「現代の東アジアが直面している共同の課題」を現代における孫文研究の課題として継承することを念頭に置きました。
 本テーマに対し、さまざまな異論が提出されるであろうことは想像に難くありません。「アジア太平洋」とは具体的にどの地域を対象とするのか、超えるべき「ネイション」とは民族であるのか国民国家であるのか等々、テーマの用語それ自体が議論の対象となりえます。しかし私たちはこのテーマが指し示す内容を厳密に定義することは敢えていたしません。なぜならば「アジア」「太平洋」「ネイション」のいずれもが、まさに孫文が生きた時代に初めて、人々の意識の中に明確に立ち現れ、さまざまな意味を付与されながら現代に至っている問題系の重要な一部をなすからです。私たちはこれらを、政治のみならず社会、経済、文化など多角的な観点から再検討することを通じて、孫文から現代にいたる諸問題の解明を試みます。
 幸い、この神戸の地で活発な研究活動を展開している神戸華僑華人研究会が、本シンポジウムの共催者となってくださいます。強力なパートナーを得て、シンポジウム「孫文と華僑」をしのぐ研究成果を、神戸から日本へ、そして世界へ向けて発信しうると確信しております。基調講演や分科会など、シンポジウムの詳細を確定するのはこれからの作業になりますが、ぜひとも皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。


2015年3月31日

                             日本孫文研究会
                               代表理事 緒形康
                               理事 石川禎浩 江田憲治 梶谷懐
                                  武上真理子 陳來幸、
                                  水羽信男 三輪雅人
                               幹事 蒋海波